染地台 藪蕎麦の日記

今月の予約状況を記載。そばの自家製粉でいろいろなそば粉を作ります

珍しく辛汁の話。

先ずは辛汁は蕎麦のつけ汁で温かい蕎麦の汁を甘汁と言います。(最初に修業しました老舗の蕎麦屋の話です。)

私の始めの頃は、辛汁も最初はその老舗の味に近いものでしたが、今ではほとんどの人が「NO!」と言われるものになったと思います。

では、何故そんな汁を作るかと言えば、それぱいつもブログに書いている蕎麦の製粉が理由になります。

蕎麦そのものに味が出来てきて、それが好きになってくると汁の味が邪魔になることがあります。

蕎麦に塩を付けて召し上がる方が多くなりましたが、汁も塩と同じ位に食べますと蕎麦の風味が楽しめます。

自分が食べる分をよく蕎麦打ちをしますが、2枚程度では汁はいりません。

3枚、4枚になりますと、少し付けて口直しする感じです。

どちらかと言えば、召し上がる方には、蕎麦湯を楽しんで頂きたいものです。

極論を言えば、その為に辛汁を作っています。

お吸物の様に鰹節と昆布の風味を楽しんで頂きたいのです。

その為に、味醂や砂糖など甘味は使いません。皆さんは味醂を使いますが、味醂は旨味成分がありますから、かえって邪魔になります。

材料は、厳選された鰹節と昆布の出汁に醤油だけです。(随分前から鰹節の品質が落ちたものが多くなりましたが。)

鰹節は辛汁を作る時に削ります。

濃い汁を作るので醤油は出汁より多くなります。

ですから、出汁を取り終わった時は、削節に出しの風味が極力残らない様に出し切ります。

その為に追いがつおをしながら、3番出しまでとります。

鰹節は薄削りです。

蕎麦屋の出汁は厚削りで長く煮詰める事があります。

修業しました老舗もそうでしたが、今は薄くけずって、沸騰するかしない位の温度で1分位です。

長くなりましたが、分量です。

(液体はccでなく、gでの計量です。)

削節 75g

水 900g

醤油 500g

昆布 3g

水 90g

先に昆布出汁について。

水90gに細かくした昆布を入れて、1時間。

60℃にして、1時間です。

鰹節の出汁は2回の追いがつおで3番出しまでとります。

鰹節、水を3等分します。

水300gを火にかけ、沸騰直前に25gの削節を入れて、沸騰するかしないかで1分位で濾します。

濾した出汁に追いがつおで25gの新たな削節を入れます。(温度、時間は同じです。)

もう1回、同じ様に25gの新たな削節で出しをとります。

(非常に濃い1番出しがとれました。)

とれた1番出しは別の容器に移して下さい。

次は2番出しです。

水300gを火にかけて、1番出しの最後の25g分の削節を入れて、同じ様に1分位で濾します。

次に濾した出汁に1番出しの2番目の鰹節を入れて同じ様に濾し、残った鰹節を同じ様にします。

出来た2番出しは1番出しに足して下さい。

3番出しは、2番出しの最後に入れた鰹節から始めて、同じ様にします。

1.2.3番出しを一緒にして、醤油500gを入れて、沸騰直前にして、凡そ1050g弱にします。

60℃位になりましたら、昆布出しを足して、冷めた状態で1140g位に調整します。

以上で大体の作り方で多少数字が違ってもかまいません。

醤油のクセが感じなく、お湯で割った時に鰹節、昆布の香りが楽しめればOKです。

尚、「返し」はとりません。

一般的ではありませんが、醤油の封を切って時間を置くほど酸化すると考えているので、醤油は封を切ってから冷蔵庫に入れてなるべく早く使います。

分かりにくかったと思いましが、以上です。